イギリスの秋冬は、空気中に水分がいっぱいで、「晴れ」の天気予報でも地面が濡れて黒くなってることも多い。当然、家の中も湿気が充満。朝起きてカーテンを開けると、水滴を拭くのが夫の仕事だった。
何年前だったか日本に里帰りが決まってた時に、100均で役に立ったものみたいな記事で偶然見かけた。水切りワイパー。イギリスに長く住んでると、見聞きするものをそのまま鵜呑みに文字通りには受けないようになっている。「役に立つ」かどうかは実際に使ってみなきゃわからないという姿勢で買って持って帰ってきた。それまでティッシュを使っていた夫は、何の躊躇もなく、それを使い始めた。本当に簡単に水が切れる❗

真夏でも20度を超えない日が当たり前の私たちの住んでる北イングランドの街。今年は10月に入っても20℃超えの「暑い」日がある異常だったが、今週は朝には霜が降りるほど気温が下がった。カーテンを開けると、認知症の夫が「ワイパーみたいのどこにあったっけ?」と聞いた。
私は寒いのは嫌いだ。異常でも暖かい方がいい。だけど、認知症で毎日使ってる言葉すら口から出てこない夫が「ワイパー」なんて1年ぐらい使ってない言葉をスラっと言い放し、しかも半年ほど目にすることもなかった、こういうものを使って水滴を取り除いていたことを覚えていた、ということにほんのり気持ちが暖かくなった。♨